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熊との遭遇と逆イオマンテの危機@四阿山

真田の家で保護ぬこさまをお迎えしたため、さいきんはついつい長野に足が向かってしまう。天気が良かったので山でも登るかと思い、菅平高原から根子岳~四阿山を縦走してみることにした。




 わたくしの人生初の登山がここ根子岳(家族みんなで登った)である。じつに36年ぶりの登頂となった。山頂でおにぎりを食べて休憩した後、今度は四阿山(あずまやさん)へ向かった。古事記にも登場する四阿山はヤマトタケルに由来する由緒ある山で、百名山の一つでもある。こちらは初めての登山である。

 根子岳の山頂からの下りの尾根伝いが絶景であった。その後ふたたびきつい登りを進み、四阿山の山頂付近まで来たときのことである。ひらけたガレ場から熊笹に覆われた道へ数歩進むと、突然目の前に大きな黒い塊が目に入った。あ!と思った瞬間、その黒い塊は跳躍し、もの凄い勢いで藪の中へ逃げていった。
 人生初の熊さんこんにちはに呆然とする私…2メートルくらいの至近距離だったので、タイミングがずれていれば危険だった。


 私はアイヌ文化が有する膨大な森の知識に憧憬の念を抱き、日ごろから熊さんともお近づきになりたいと考えていたため、願いが叶ったともいえる。アイヌといえば熊のイオマンテ(魂送り)が有名だが、じつはアイヌは熊だけでなく様々な動植物のイオマンテを行っていた。また、縄文時代の土偶を用いた植物霊祭祀の儀礼こそがイオマンテの起源の中心的ファクターであると私は考えており、刹那ながら貴重な体験となった。

 あやうく逆イオマンテとなるところだったが、熊よけの鈴はやはり必要だと理解した(チリンチリンうるさいから今回は持っていかなかった)。熊よけの携行は自分の身を守るためと思っていたが、ちがう。熊さんを無用に驚かせないために必要なのだ。彼らのテリトリーに立ち入らせてもらうのだから、そうした配慮はむしろ彼らへの最低限のマナーなのだということに遅まきながら気付いたのであった。